MOVE Festival -Day1 (2002.7.10)
MOVEフェスティバル1日目レポート
イギリス入国から一夜明けて、いよいよフェスティバルに出陣。宿泊先のロンドンを出発し、ブリットレイルでマンチェスターへと向かう。昼過ぎにホテルに到着したのだが、開場まで時間があったので、しばし市外街散歩。2年ぶりのマンチェスターだけど、特に変わった所はない(ユニクロができてたけど)。 |
午後3時。ついに開場。中へ入ると、スタジアム外の駐車場エリアに、飲食店&グッズ売り場が設置されている。簡易トイレも含め、どれも普通のフェスと同じ。しかしそこに並ぶ客はというと、フェスと違って軽装な人が多い。手ぶらの人がほとんど。みんな、気軽に週末のイベントを楽しみに来たというカンジだ。私たちなんて、はるばる日本から来たというのに…。
スタジアムの外
どんより天気…。
グッズ売り場
閑散としてますね…。
スタジアムの中へ足を踏み入れると、特設のステージが目に入る。思ったより小さい。というか、スタジアムの半分しか会場として使っていない。規模の小ささに、これは紛れもなく「イベント」なのだと、思い知らされる。でも「イベント」なのに、これだけ豪華なメンツが揃ってしまうのもスゴイけど。
後方に座って談笑していると、いつの間にやら開演時間。司会のオジさん2人(Radio1のDJ)が出てきて、マンチェ祭りだ!ボウイだ!スウェードだ!と大騒ぎ。どさくさ紛れに、スタジアムのスポンサーである、なんとか新聞(名前忘れた)を買え買えうるさい。そんなこんなでMCがしばらく続き、ようやくトップバッターのThe Real Peopleの名が呼ばれ、バンドがステージに。
と言われても、私、全然知らないこのバンド。一応、マンチェ民的には、「懐かしのあのバンド」らしいのだけど。
会場内
「さらば青春の光」
The Real Peopleをまるごと聞き流し、続いてはThe Electric Soft Parade。去年のレディングでは、(うたた寝していて)ほとんど見ていなかったので、今回はそのリベンジ。オジサン&オバサンをかきわけ、前方まで押し寄せる。
そしていよいよバンドの登場。普通ならオーッ!と歓声が上がるとこだが、何分、オーディエンスの大半はバンド(平均年齢20歳)の親世代。拍手パラパラ、なんとも寒いお出迎え。「アンタ達誰?」てな勢い。そんな状況なので、曲が始まっても、客の反応はほとんどナシ。わざわざ「ヒットシングルの…」というコメント付きで始めた"Empty At The End"ですら、盛り上がっているのはほんの一握りの若者オーディエンスだけ。おまけに途中から雨が降り始めて、もう踏んだり蹴ったりのSoft Parade。ついにはアレックス(Vo.兄)が「お願いだからそのままここにいて…」とお願いする始末である。会場の雰囲気のせいで、バンドのテンションも下がってきている様子。雨の中聞こえてくるメロディが妙に物哀しかった。ということで、予想外の展開にやや拍子抜けの私。これがレディングだったらかなり盛り上がるんだろうなぁと思いつつ、Tフェスでのステージに期待。
Soft Parade終演後、食を求めてスタジアムの外へ。怪しい食べ物は避けて、無難にポテトを購入。雨がかなり降っていて、食べにくい状況ではあったが、SUEDEに備えて腹ごしらえ。でも雨はすぐに止み、太陽すら出てきて、だんだん暑くなってくる。さっきまでは寒かったのにぃ。
スタジアム内に戻ると、ステージではDivine Comedyが演奏中。先頃解散したはずだったのに、知らぬ間に復活している。確かにバンドメンバーは去年と違うようだけど、Vo.ニール・ハノンは、相変わらずの酔いどれ声で、じっくり歌い上げている。客も客で、歌い手ハノンに大拍手。さっきと同じオーディエンスだとは信じがたい。時折大合唱が起こり、中盤ではPixiesのカバーでえらく盛り上がる。Soft Paradeに引き続きこちらも意外な展開に、ただ驚くばかりだった。(マンチェはアイリッシュ系が多いからか?)
それにしてもニール・ハノン。去年はTシャツ&Gンズで軽快にギターかきならしていたのに、今年はボサボサ頭にヨレヨレシャツで登場。そもそもこの人、昔はスーツにサングラスが定番だったのに。ひょっとして新キャラ模索中?
Divine Comedy
アイルランドの英雄?
3バンドの演奏が終わり、ようやく本日のメイン、SUEDEの出番。なんてったって3年ぶりの生SUEDE。興奮せずにはいられない。午後7時10分、ついにバンドが登場。ステージ裾から颯爽と飛び出してきたブレットは、以前にもまして筋肉質になっている。そして彼の横でギターを構えるリチャードは、以前にもましてむさっくるしい。脱退したニールの代わりにバンドに加わったアレックスはというと、なんだか普通のオジサンだ。メンバーのあまりの変貌ぶりに戸惑いを覚えながら、新生SUEDEのステージがキックオフ。
オープニングは、新曲の"Beautiful Loser"。タイトルも、イントロのギターも、メロディも、いかにもSUEDEっぽい。一度聴いただけで口ずさめそうなポップソング。ややハスキー声になったブレットは、全身を振り乱して歌っている。筋骨隆々な肉体で、腰くねくね、お尻ふりふりの軽快な(?)動き。ブレットは、魅惑のマッチョと化していた。
続いては、お馴染みの"She"と"Trash"。そして、お次はなんと"Metal Mickey"。それまでおとなしく聴いていたオーディエンスが、一気に爆発。みんな狂ったように歌っている。これ以降も、"Everything Will Flow"に"Animal Nitrate"に、次から次へとヒット曲が大放出。キーボードとして加わったはずのアレックスも、ときにギターを手に取り、リチャードをサポート。SUEDEがダブルギターとは。まさしく、新生SUEDEのステージである。
しかし、絶好調のバンドとオーディエンスとは裏腹に、天気だけはどうにも優れない。Divine Comedy終演後に再び雲に覆われた空は、今にも雨が降りそうな気配。そして終盤にさしかかったところで、やはり降り始めてしまった。最初は小降りだった雨は、一瞬にして大雨に。いや「大雨」なんて言葉では足りないくらいの降雨量。バケツをひっくり返したような水のかたまりが、容赦なく、ひっきりなしに、どかどか降ってくる。ステージでは新曲の"Positivity"が演奏中だったが、身を守るのに必死で、聞いている余裕なんてない。そもそも顔をあげることもできないし。フードつきのウィンドブレーカーだけでしのいでいたので、足元ずぶ濡れ、おまけに気温が一気に下がって、めちゃくちゃ寒い。あ〜もう早く終わってぇ。
というわけで、下を向いたまま耐える事10分。最後の"She's In Fashion"が終わり、記念すべきSUEDE復活ライブが、あっけなく幕を閉じた。うー。先のワールドカップで、雨天試合前のベッカムが、「マンチェスターはもっと降る(からこんな雨、問題ない)」と言っていたが、なるほど納得。確かにこんな雨、日本では降りません。恐るべし、マンチェの天気。
セットリスト:
Beautiful Loser
She
Trash
Metal Mickey
Everything Will Flow
Obsessions
Animal Nitrate
The Wild Ones
Can't Get Enough
Beautiful Ones
Positivity
She's In Fashion
※スミマセン、写真はありません。
SUEDE終演後、ようやく傘を取り出せる状況になった。それでも、時すでに遅し。靴も荷物も服も全てびしょぬれ。気温もさらに下がり、もはやホッカイロをもってしても耐えられない寒さ。V2000で体験した、魔の9度を下回る勢い。とても7月とは思えない。
ぶるぶる震えながら、セットチェンジの時間が過ぎるのを待つ。会場内にはビールを飲む人の姿もなく(飲める状況ではない)、皆ポンチョや傘で豪雨を耐えしのいでいる。しかしそんな状況でも酔っ払いはいるのもので、1人の若者が、傘もささずに「ギャレスゲイツッ!ギャレスゲイツッ!」(※今イギリスで大人気のアイドル…なのかアレは?)と、楽しそうに跳びはねながら踊っていた。
David Bowie登場の時間が近づいてくると共に、なぜだか次第に雨足が弱まり、そのまま止んでしまった。おぉ晴れたよ。さっきまでのバケツ雨はどこへやら、雲が切れ、青空さえ見えてきた。どうやら猛雨も、大スターには勝てないと思ったらしい。
ステージも空も準備が整ったところで、本日のトリ、David Bowieが大歓声と共に登場した。スーツ姿で現われたボウイは、ファンの暖かい出迎えにご満悦の模様。白い歯を見せて満面の笑みを浮かべている。
長年の、そして筋金入りのDavid Bowieファンで埋め尽くされたステージ前。オーディエンスは、オープニングから大興奮。名曲 "Starman"は、感動的な大合唱となった。超ゴキゲンのボウイは、1曲終わるごとに、丁寧に「サンキュー」を連呼している。ひたすらにジェントルマンな大スター、David Bowie。年月と共に姿は変わっても、エンタテイナーであることには変わりない。
しかし、盛り上がってはいるものの、昔の「名曲」しか知らない私は、ただ黙ってステージを見入るだけ。しかも雨は止んでも気温は変わらず、終始寒さに耐えながらの鑑賞となった。終盤には"Heroes"も披露し、最後はやはり"Ziggy Stardust"。若かりし頃の名曲で、この日のステージを締めくくった。
David Bowie
夜でも明るい夏のイギリス
※午後10時半撮影
大歓声の余韻が残る中、猛ダッシュで駅へと戻る。会場にいる人の大半が、2両しかない路面電車を利用するのだから、これはもう争奪戦。しかし、Old Traffordは普段から大勢の人々が押し寄せる駅。混乱しないように、1人ずつしか改札口を通れないようになっている。改札前には早くも長蛇の列ができていたが、何の問題もなく電車に乗ることができた。 ダウンタウンに着く頃には、日はすっかり暮れていた。ホテルへ戻るとすぐに、ぐしょぐしょに濡れている靴・服・荷物を部屋中に並べて乾かす。なんとも散々な一日だった。 |
≪おまけ≫
使い捨てカメラで撮った、ボツ寸前写真2枚。
The Electric Soft Parade
Divine Comedy鑑賞後
Suede
惨劇の前の1枚
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フェスティバルレポート2002